エーテル 8/草野春心
 


  朝、
  利き手ではないほうの手でつくられたような
  拙い光たちが 睦まじく庭じゅうを飛び回っている
  だが 光だけがここにあるのではない
  ここには机がある 椅子もある
  ノートに記されたたくさんの言葉や
  結局は忘れずそれらを覚えている わたしの心も……
  あなたがいつかわたしにくれた
  造りものの白い花が、瓶のなかでそっと微笑む朝
  それは かなしいことかもしれない
  ほんの少しばかり かなしいことかもしれない



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