群青/opus
 
風船が
ぷかぷか
ぷかぷか
上がっていく
手を離してしまった子供は
どうして離してしまったのだろうと
不思議に思っているのか
手を空に差し伸ばし
握ったり
開いたり

ふわふわ
ふわふわ
僕の知らないどこかへと
あの頃の僕も
きっとこの子供のように

風がひゅっと吹いて
目に砂が
手で払い落とし
前を見ると
もう子供はそこにはいない

「うん。」

唾を飲み込み
深呼吸をして
右足を踏み出す

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