夢支度/ichirou
 

この世に亡き方は
すべてを
香りで感じると聞きました

なので
大切なことを手紙にしたため
手紙とともに香を焚き
言葉を香りにのせて
先に送ります



  この世で会えぬ方と
  夢で会う
  うかつに踏み込めば
  漂い迷う夢に中

  夢の世界は
  縦横無尽
  遠近混在
  今昔交錯
  故に
  道理の道標は役に立たず

  行くべき道は
  彼の方への想いのみ

  私はただ
  彼の方が
  どんなお顔でおられるのか
  そのことのみを想い
  夢の中に入る

  
  
  

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