日々之遺言/bookofheaven
 
山の際を淡く染めていく
年の初めの最初の光を
あつめてできるノートがあって
誰にでもあるそれは
こどものうちはとっても厚いの。
書いても書いても尽きることはないの。
大きくなると見返すようになるから
同じようなことは書かなくなって
せいぜい2,3日に1枚ぐらいのノートになる。
少しずつ薄くなっていくのね。
ことし届いたわたしのノートは
もうノートってかたちじゃなくて
せいぜい1週間分ぐらいの
クリップでとめたような紙の束ぐらい。
しょうがないから便箋にして
貴方宛の手紙にしました。
あなたの持つノートに
はさんで消えるようにおくっておきました。
大丈夫。
きれいなものばかり書いてある。
あなたがいつもきれいなものに包まれて過ごせるように。
わたしからあなたへ 日々の遺言です。
戻る   Point(3)