月夜/keigo
ふと目が覚める未明
カーテン越しに
窓から漏れる寂光は
夜空に浮かぶ冷たい月のしわざ
孤独に身を任せる夜は
君がついた最初で最後の嘘を抱いてまどろむ
「いつかまた会える」
そこだけ温度をもった
淡い記憶に手を伸ばし
遠い声をたぐりよせようと
耳を澄ますほどに思い知らされる距離は
ねえ、君の面影さえも奪って行くよ
それならいっそのこと
あの時
あの月よりも冷たく
遠く
遠く
一瞬にして
記憶の底に葬りさってくれていればよかった
やがて訪れる
光溢れる朝が怖い
君のくれた温もりが
鈍く
鈍く
失われてゆくから
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