夜/keigo
 

どこか遠くから
聞こえてくる
祭り囃子のような
野性

重く重く
近づくほどに
全身で感じるのは
この世界の鼓動

何百何千もの時を経て
語り継がれる快楽は
命のはかなさを諭しつつも
押し寄せる津波のように
やがて全てを飲み込む

‥少しずつ
‥少しずつ
染み入る
思慕にも似た
この痛みは
震える大気や
燃え上がる炎と対峙し
やがて昇華する

さあ、宴もたけなわ
踊れ
踊れ
今夜限りの無礼講
君にはあの赤い情熱が
よく似合う
踊れ
踊れ
後先考えずに
今はひたすら踊るのだ

何事もなかったように
朝が来て
カーテンを開ける君の横顔を
優しい日差しが
滑らかに包む時

夜は幻覚のように
跡形もなく消え去ってしまうから

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