祭壇へ向かう人々/いねむり猫
 

小さな炎にゆれる人々の影が
夕暮れの草原を 黙々と進む

神に近づく不安が 音と風を封じて
手に捧げ持つ 灯明は 
真っ直ぐに夜空を指している

白い神衣に身を包み
いくつもの儀式を経て 
神の座へ 近づいていく

神が住まう 黒い森への道

それが無駄だと知りつつ
死を封じ込めようとする 葬列のように

深い畏敬によって うつむき 灯明だけを捧げて


荒れ果てたこの土地に 根を張ることの 許し
混沌の森からやってくる 惨たらしい災いからの救い
新たな変革へ導こうとする 燃える眼差しの若者の 試し


黒い森の神は 恐ろしい伝説の中で 長く 息づいてきた 
しかし 神の座に近づく儀式のすべて伝える者は 
もはやいない


まれに 黒い森に入った村人たちは 
見知らぬ客人を連れてもどってくる 
村人は 遠方から帰還した古い友人のように 
客人を迎え 世話する 

失われた目的
形態だけが保存されたシステム

夕暮れは 星のない闇に変わり

白い葬列は 黒い森に 吸い込まれていく
 

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