時間/葉leaf
 
めて優しい。私はその流れに自分の卑小さを解消させていた。労働の時間の流れは、社会的で肯定的で極めてリズムが良い。私はその流れによって自分が承認されるのを快く思っていた。だが、自然と労働の流れに身を委ねているうち、私は自分固有の時間の流れを見失ってしまっていたのだ。それは沢山の屈折と傷と闇とねじれに彩られているもので、だからこそあえて見ないようにしていたのかもしれない。

私はいくつもの時間を生きている。他者との交わりの時間、自然に抱かれる時間、社会の仕組みに従う時間、余暇にふける時間。私はそれと同時に、私固有の何よりも強靭で鋭い時間を最も深く生きている。だがそれは、最も隠蔽されやすく、最も自明な時間でもある。自然の時間も労働の時間も、その発祥の基礎には私固有の時間がある。私は『純粋理性批判』を棚に戻すと、こみあげる涙を辛うじてこらえた。私固有の時間が、今これから白日の下に再び始まる。自然や労働の時間を織り直すように。

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