踏み込み/ドクダミ五十号
 
わたくしは剣道が好きだった

「カギ足」を指摘され

伸びる面の為に努力した

竹刀は「しなう」後頭部に届けば良いのだ

暴力では無い

真剣な勝負

切っ先が届くまでの行程

踏み切りが必要だった

相手が撃ってくる時

わたくしも出るんだ


打撃の瞬間に

持ち手をぎゅっと握るのは

互いに同じだったよ


争いだとしても

清い

肉体保存とは違う種類


「礼に終わり云々」

判るけれど


同士討ちの確率は実に少ない

後頭部を互いに狙い

当たった時の

切っ先の当たりに目舞う

昏倒する一閃を知っているか


例えばどんな野郎だとしても

戦いと云う「交歓」からは逃れる術は無い



機械を使ったレースだってそうさ

最良の素材と部品

競技者との関係



胸が痛いのはなんでだろう?

愛と理解が足りなかったから?



そうだ、命を守る為に生きよう

誰もそれを「是」としなくても
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