一月一日に/ただのみきや
 

夜を抱いて眠っている
布団の中が宇宙だ
せっかちな朝が起こしに来ても
夜が放してくれないのだから
おれのせいじゃない そもそも
三百六十五日ごとにリセットされる
そんな人生を歩いては来なかった
おれは一万六千四百三十六日目 それくらいだ
生まれて生きて死んで生きかえり最近また死んだ
やがて完全に死んだなら永遠に生きるのだろう
輪廻なんかしやしない
点から広がり空間を占めてやがて時を越える
この土塊は魂の苗床だ
夜の腕がおれの腰にまわる
唇が瞼に押し当てられる
初日の出は皆既日食ということで 
開封しないでおこう
いつかは死ぬように
いつかは起きるのだ
夜の寝息
静かにぎゅっと抱きしめる


     《一月一日に:2014年1月1日》
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