エーテル 6/草野春心
 


  仔馬の湿った毛並みを、
  女は なぞるように撫でていた
  よく晴れた三月の日曜日に、陽の光は
  光よりも寧ろ風に似ていた……風は吹いていなかったが、
  風は吹いていなかったが、女は麦わら帽を軽く抑えた
  雨はふっていなかったが、女はそっと傘をひらいた
  そして……幸福ではなかったが女は優しく笑いかけた
  かなしく笑いかけた……そこには、女と仔馬のほかには誰もいなかったが



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