20世紀/白雨
いくら分析しても分裂する
卓の花は5つの花びらから成る
新宿のビルは2千個の灯りをともして
マンハッタンに古い影を投げかける
いつまで数を数えても
人間がぐんぐん追い抜いてゆく
哀れなる青年期の残像よ
僕は空を見ない
天井を見る
それはヴィジョンだ
感傷を捨てるために
空を遮る庇
そのなかで人間が無生物になる
シュルレアリズムとモダニズムを
漂流する機械鳥に化かしたのは
言うまでもなく
天井だ
閉じこめられるのが好きだ
あるいは
宇宙へ飛翔することが
機械鳥は蔓草が好きだ
ずっと森深くへ行って神殿で遊ぶのが
深層心理がコンクリートを好むように
性欲がコルセットを好むように
どうして寝間着で革鞄を持ってはいけないの?
20世紀が答える
何なら裸でパリへ行きなさい
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