エーテル 3/草野春心
 


  百葉箱のなかに置かれているのは 古めかしい爆撃機の模型である
  縞状になった日の出の薄明は その謙虚な空間へも差し込まれる
  若がえっていくのか年老いていくのか それは定かではないが
  光の小さな粒子の……さらに奥においてさえも
  時は確かに動き、揺れ、落下しては、浮上する……
  物語が語られるのに これほど相応しい土地は他にはないだろう



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