そして繊細の雨/ねことら
 
くれる。だから、ここにいるんだなって思う。でもすぐにわからなくなる。きみとわたしがここにいるって、どうやってたしかめたらいいんだろう。




鏡の像がじぶんにみえなくて不安に駆られる。顔の輪郭をぐにぐにとのばしてみた。肉がある。痛みがある。


駆け足のビンゴゲーム。通勤鞄や買物カゴの年寄りを追い越していく。からっぽのアルミ缶をがんがん鳴らして。おどろいてふりむく前に、息をころしてとおりすぎる。


高学歴の、高額当選者の、高層ビルの、高解像度の。いくつかをたして四で割ったイメージの断片がプロジェクションマッピングのようにべたべたとぼくや他人にかさなっていく。はやくへやに
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