中等熱/くみ
をふと思い出した。
熱は38度5分から38度。
父親は仕事柄あまり家に帰って来ないし、タイミングの悪い事に母親も試験最終日の朝から友人と温泉巡りに行ってしまったのだ。
家には熱を出した俺が1人。
恋人が見舞いに来たのだが、わざわざ学校から家に帰ってから着替えて来たらしい。
おぼつかない足取りで玄関まで迎えると、最近のお気に入りらしい細身の黒いコートを着て、手にはコンビニの袋をぶら下げた姿。
そこまでは良かっのたが、恋人は更に正体不明の大きな包みを抱えていた。
「千羽鶴………」
「それは見て分かる」
「だって…インフルエンザだって言ってたし…もし
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