詩を救うための音楽??榎本櫻湖『増殖する眼球にまたがって』/葉leaf
より「現代詩」は段階的に形成されていったのである。抒情は、とっくの昔に、花鳥風月の甘美な快楽を歌うものではなくなっている。抒情は、人間の根源から沸き立つあらゆる情念の奔出であり、また思想や哲学・論理などのもたらす知的な美の追求でもあり、社会の中で社会を内面化しながら生きる人間の歌でもある。抒情のこのような多様性と不均質性が現代詩の特色をなしていると私は考える。
だから、現代詩は必ずしも心地よいものではないし、必ずしも容易に理解されるものでもない。大衆の安易な消費に抵抗するのが現代詩であり、それゆえに大衆社会からは抑圧され疎外されているのである。だが、流行歌の歌詞や小説に飽き足らず、現代詩にそれ
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