詩を救うための音楽??榎本櫻湖『増殖する眼球にまたがって』/葉leaf
1.現代詩をめぐる状況
現代詩の読者は減っている。団塊の世代のある詩人と話したとき、「私の若い頃は詩が若者たちの普通の話題に上がってきたが、いまはそんなことはないだろう。」と話していた。現代詩は、60年代、70年代の頃はまだ人口に膾炙していたが、時代と共に段々それを享受する人口が縮小していったのだ。また、私自身の見聞としても、ここ10年くらいで、詩の雑誌の取り扱いをやめた書店は多いし、詩のコーナーを大幅に縮小した書店も多い。それは、端的に、現代詩が限られた読者にしかその魅力を理解されなくなったからだろう。
そこには、表面的な豊かさを追求するあまり、かえって真の豊かさを失いつつあるという
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