シオマネキ/ただのみきや
蟹よ蟹蟹めでたき錯乱よ
泡を吹いては踊れ踊れ
底の浅い水溜りですら遥かな空を映すのだ
薄っぺらな文字の連なりに宇宙の深淵を覗かせて
泡を吹かせてやるがいい
脳界を巡る青い焔の伝書鳩は終焉まで飛び続ける
感染発語の蝗の群れを嵐のように引き連れて
蟹よ ドン・キホーテよ
崩れかけたルークよ縦横無尽に舵を切れ
本当は裸になりたかった悲しき王よ
守られて逃げるばかりだったチェス盤の王よ
冠を捨てハサミを振り上げよ
己が定型を真っ二つに断裁せよ
輝く眩い大海原を前に
打ち寄せる衝撃を前に
赤ん坊のように対峙せよ
来るぞ来るぞ来るぞ来るぞ
シオマネキ詩ヲマネケ
シオマネキ死ヲマネケ
《シオマネキ:2013年12月20日》
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