シオマネキ/ただのみきや
 
色硝子の目玉をガリガリかじる
虫食いの肉体をベリベリ剥がす
おれはおれを一本の死に花として石の器に生けてみる
瞬間凍結された踊る舌先の焔として
勝ち目のない戦いに身を投じる高揚感で
己の文字数を数えることもなく奇襲するのだ
行のあわい その無から無量を音速で飛行する
女神が人工授精した爆弾の胎動に酔いしれて
紅い花と記し世界を青く染める者たちよ
老練な文明のチェス盤に打ち寄せる馬鹿笑いの怒涛を前に
狂うこともできない無垢な魂たちよ
己が恐れを逆手にとれ
道化のように狂気を纏え
絶妙なるアンバランス
盲目のビショップよ隻腕のナイトよ
貧しき兵卒よ突端までくぐり抜け女王の
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