むかしの歌/草野春心
 


  朝がきた
  薄ぐらいもやの向こうに
  金色の光が輪をかけている
  あなたが いつか その手のひらに
  汲んできた水は だいぶ前に
  何処かでこぼれてしまったけれど
  やがて名前をもたない鳥のむれが
  影の雨を落としていくころには、
  私たちはおなじことをくりかえしている
  かなしくてやさしい むかしの歌のように



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