火焔茸/ゴースト(無月野青馬)
 

千差万別の死の景色
千差万別の詩の景色
海鳴り
山鳴り
老人ホーム
鉄人だった「親父」も
錆び付いていて
上半身は現世にあって
下半身は冥界に踏み入れている
足から逝く
肺炎とのデッドヒートを繰り広げている


脆くも崩れる
諸行無常
盛者必衰
その摂理
脳裡に残響
剣岳の残映
足から逝く


ううむ、ううむと唸るだけ
その様態の己を
「親父」のように
無我のままでもがく己を
想起してみれば
「俺」は「もがく俺」を
安楽死させてやりたいと思う


オランダは理想的だと
「弟」と「妹」は云う


「俺」は云った
唸るだけの己
[次のページ]
戻る   Point(1)