あなたにやわらかな朝を/茜井ことは
 
眠れないことがつらいのは
どうしてだろう
眠れないことがつらくなければ
流されなかった涙は
いくつあるのだろう

数えきれない眠れぬ影は
朝焼けで溶かされず
凝固する
凝固しながら
街を浮遊する

わたしは窓を開けて
この部屋から飛び立つ
そしてまた、朝を迎えたあなたの
足元にそっと忍び寄る

わたしの涙の温度は
あなたを溶かすことができると
信じているから
わたしは
あなたに
やわらかな朝を贈ろう



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