スペースキャプテン2/……とある蛙
 
その昔
俺は 宇宙の中を飛び回っていた。
織り姫に懸想して、彦星から追われもし、
白鳥の首根っこも押さえもしたし、
ペテルギュウスのおならも嗅いだ。
オリオンの楯を盗んだり
カシオペアの辺りを行ったり来たり
でも
結局今は女房子供に囲まれて
この地球で親父になった。

昔はたくさん星屑を集めて
アフロディーテにプレゼントしたり
マルスやバッカスと
酔っぱらって殴り合いの喧嘩もした。

しかし、
記憶の始めと終わりはあっけないもので
それをたくさんを宇宙船に詰め込んだつもりだったが
実はほんの僅かしか積んでいなくって、
残ったのは宇宙の塵のような物だった。

だけど死ぬまで星達と一緒だ
だけど死ぬまで星達と一緒だ。

あいつらに俺は見えないけど
俺は宙(そら)を見上げるだけであいつらが見える。

だから死ぬまであいつらと一緒だ
だから死ぬまであいつらと一緒だ。

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