風は南へ/
草野春心
風は南へいった
月の光は道にころがり、
小石にぶつかって止まった
肩まであった長い髪をきって
聖なるひとのように きみはわらう
二人して ベランダの手すりに体をもたせて
こころゆくまで煙草を吸ったあの冬の日が
なつかしいけれど もう戻れない
風は 南へ いった
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