「異様に低く、白い天井」/
宇野康平
ホホホホ。
10代の頃の私であればこんな冷静ではいら
れなかったであろう、と女は思いながら、水
を張った湯船につかる。女は、血圧が異常に
低いため、湯に入れないのはそれほど気にし
ていない。水の溜まりにはプカプカと落ちた
葉と、ひっくり返り腹を見せる虫が浮いてい
る。
虫は悲しい悲しいと泣きながら、子を産み、
死んだ。
《劣の足掻きより:
http://mi-ni-ma-lism.seesaa.net/
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