老い/葉leaf
 
するが、私が農業の理想を追求するようになると、父の背負っていたものがようやく私に継承されたのだった。父は自分が死んでいくにあたって子供たちに残したいものがあった。それが農業に従事する誇りであり、農業の技術を高めていく理想であった。そして、それが子供に受け継がれて初めて、父は老いることができ、死に向かうことができたのだ。生き方そのものとして背負ってきたものを誰かに受け継いでもらうこと、人間の老いはそこから始まり、そのとき初めて人間は死を安らかに見つめ始めることができる。

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