老い/葉leaf
 


父は厳格な農夫だった。私は子供のころから農作業を手伝っていたが、効率の悪いやり方や、やる気のない態度、失敗に対して、父から厳しい叱責を受けた。収穫された桃を運搬する際にあやまって桃を落としてしまったとき。防鳥ネットを梨畑にかけてそれが風に飛ばないように結びつける際に結び方が下手だったとき。早朝からの仕事で眠さとだるさでなかなか動こうとしなかったとき。父は理想主義者だったのだと思う。理想に向かって技術を向上させていくのが父の生き方であり、その理想の追求を私にも要求したのだった。私の理想主義はそのようにして父によって植えつけられたが、私は農業を理想にすることは決してなかった。父と私は理想に向か
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