easy/Debby
 
たとえばきみが何もかもを
小文字から始めてしまうひとだとしても、
両方の足を水の中に沈めて
砂の肌触りがずっと流れていく日のこと
生き物たちは、朝になれば。

とてもよく乾いたシャツの中に
顔をうずめているときの
ことを思い出しているきみのことを
潮を上げていく海のこと
河口を遡るひとびと。

かなしくなってしまったとしても、
どこへ行くかわからなくて
これがはじめてのことみたいな
気がしている。
どこまでも続く蜂の巣みたいな団地に
はためいている洗濯物。
ベランダには黴だらけの洗濯機。
使い古しの星。
切れかけた靴ひも。

雨が降る日が三つならんで

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