水時計/クナリ
孤独になりそうな気配の休日
無機物相手なら落ち込むような目にあうこともあるまいと
一番のお気に入りのマグを揚揚と取り出したら
見事に縦に一本ひびが入っている
見つけたのが夜でなくてよかった
光に満たされた世界でなければ
端的に
救いようがなくなる光景だから
昼間であればこんなものは
日常の振りができる程度の悲劇
マグに水をいっぱいに入れて黒い木のテーブルに置く
大丈夫かなと思ってみていると
染み出した雫が集まり集まり
とどめようもなく とどめようもなく
とうとう線になってマグを下り
テーブルに着いてぽつりと止まる
見ない振りができる程度の
雫の一つ一つ
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