さよならの日に/凛々椿
に向けて湧く数百の命の音
君はその音を愛していた
穏やかでいられなかった僕の
足りない隙間を埋めてくれた君たちへ
ごめんね
ありがとう
僕はもう大丈夫
心配しなくていいよ
届くかな
届くといいな だから
おやすみ
夜が遠くなればきっと
黒がオレンジを淵に滲ませて
目のくらむような青に導いてくれるんだ
そしたら
あの時の公園で落ち葉をかき集めて遊ぼうよ
周りの子供たちと混じって
いっぱい笑って いっぱい泣いて
たとえそれがことなる秒針の音の重なりで
姿はなくとも
僕は眺めるだろう
首筋から冷気が入り交じって
僕が僕でなくなる日までやむことなく
君たちの気配をずっと
いつまでも
今はおやすみ
しあわせたちよ
もし明日があったならば
僕は惜しみなく心臓を捧げただろう
そんな愚かな願いを
どうか気にせず 馬鹿だなあって笑ってほしいんだ
贅沢かな?
おやすみ おやすみ
どうか良い夢を
願うよ
いつかまた きっと会えるよ
さよならの日に
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