「昨日」/宇野康平
http://www.youtube.com/watch?v=S09F5MejfBE
いずれ、最後の日になれば死人はみんな蘇るから、そのと
きはこの歌を歌いながら私を探して。そう女は呟き、罪を
全部背負ったような瞳で私を見つめた。
微笑みながら目に涙をためる女にもう一度キスをする。
女を家に返し、寝床に入るころには日の出の時間になって
いた。
私は祖母が口ずさんだ、戦地へと行く祖父を送る軍歌を思
い出していた。煙草ように、徐々に消えていく心は私の意
思ではないと、寒冬に身を縮めながら。
《劣の足掻きより:http://mi-ni-ma-lism.seesaa.net/》
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