朝がくるということ/草野春心
 


  蛇口は しばしば朝だった
  時折それは睡蓮だったし
  無口な背の低い青年だったのだが
  腰から下を火燵にしまいこんで あなたが
  丸っきり正気をなくしているときなどは
  ほかに行くあてもないという風でありながら
  その割に、悲しみは迷いなくここにやってきた
  それが、朝がくるということだ



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