ストレンジャー・ザン・サイレンス/ホロウ・シカエルボク
 
に思えた
もちろん
そうではないままのいくつかのこともあった
だけどたいていの場合それはつまらない代物で
見ている俺が浮かべているのはだいたい苦笑だった
俺はそこに居るときだけ煙草を吸った
そこらに灰を撒き散らしながら映画を観た
灰は少しの間馴れ馴れしくそこらを舞ったあと
冷たい女のようにすぐに居なくなった
夕暮れ時が始まると
上映時間は終わる
ナイト・ショーは無かった
ナイト・ショーはいつだって
となりの席の背もたれで火を消して吸殻を弾き
立ち上がって身体をはたいた
「本日の上映は終了しました」
狂ったような満月が
崩れた屋根の上からこちらを覗き込んでいた









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