時雨虹(しぐれにじ)/草野大悟2
 
私たちの希望は
まだ生きている
サンクチュアリを奪われはしたが
私たちの希望は
野蛮人の意味を調べて
退行する人たちと同じように
まだ低いところに橋のようにかかっている

突然目の焦点を断ち切られたように
曖昧になった視界をもてあましながら眺める虹は
曖昧になった七色の悲鳴が届かない矛盾

「限界」強調たじろぐ神様との闘い

自己愛は目に似ている
何でも見えるけれど
自分自身は見えない


   *自己愛は目に似ている。
    何でも見えるが、自分自身だけは見えないのだ。
    〜ラ・ロシュフコー                      






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