沈んだ電柱/yuugao
景色のいい喫茶店
口に出したわけでもないのに
何かを察した店主が
店前の電柱は
この景観のために
地中に沈めたのだと言った
それを受け
機嫌の陰りを見せる私の話し相手
そんなこんなで
私は店主からのバトンを
うまく受け取れずに終わったのだと思った
沈めた電柱か・・・
さっきまで ごく自然に景色がいいと思えていたのに
それが今では
電柱が地中に沈められず
地上に ごく当たり前のように立っていたのなら
だとか考え出していた
そうしているうちに
私の話し相手の機嫌状態を見失ってしまう
話し相手はずっと無言のまま
何でもかんでも 口に出すもんじゃない
というような表情をしている
もしかすると
私自身も無言なのかもしれない と思いながらも
今度は 私の話し相手の機嫌と あの表情について
じっと○言で 考え出していた
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