辛い記憶/クナリ
灰色の草原にぽつりと置かれた
恐ろしくて触れることさえできない
黒黒とした檻
その中に私
外に広がる世界を見る
色のない草
音のない風
しらじらとした地平線
憧れのない自由
空にカラスが飛んでいる
けれどおかしい
あれはおかしい
羽ばたきもせず
風に乗っているでもなく
ただ端から端へ
無生命 無生命
それを知らしめるための鳥の形
檻の外への
渇望すら許さない
夢想すら余地がない
それでもあのカラス
せめてこの手で捕まえてみようじゃないか
土を掘って地下から逃れようと
両手で必死で土を掻く
上半身をつんのめらせて
下半身をふんばって
い
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