ファブレガス君の欺瞞/ブルース瀬戸内
 
のリーダーになったとしても
国民は不幸にならないようにしたのです。

だからファブレガス君が選ばれたのです。
ウソをつくくらいがちょうどいいのです。

ファブレガス君は確かにウソつきですが
それを説明している私こそウソつきです。
ファブレガス君は実在するのでしょうか。
この国って一体どこのことなのでしょう。

空が甘く熟した金柑みたいな色になる頃
私は扇動をやめて夕食のために帰ります。
他ならぬ私こそがファブレガスなのです。
そんな混乱を招く筋書きの演説をすると
国民の何人かが小さく「おぉ」と感嘆し
それ以外の国民はきょとんとしています。

私は自分を遠くまで突き放し過ぎたのか
突き放した先から戻る気配がありません。
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