点子が、行く。/るるりら
 

点子にも ほんとうの名前があるらしいです。
しかし
点子と点呼されたときから、わたくし 点子となったのでございます。

汽車ほど、人間の個性を軽蔑したものなどありません。
この明治の世では 人々は汽車に たいそうおどろいているのでございます。
喜んだ者もいましたが、そうでない者もおりました。
わたくし点子の主人などは ひねくれておりますので
髭を くいと 丸くカールさせたまま 口を への字に歪ませて
このようなことを 云うのでございます。

   客車につみこまれた人間が
   皆同じ程度の速度で 同一の方向に進み
   同一の駅に向かう 
   人間は物なんぞじゃ
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