僕は小指/ベンジャミン
 
幼さをかたちにしたら
転がりだした文字のうえで
楽しそうな僕がいました

わんわん泣きたい
微熱を放ちながらまるくなる

軽くにぎった手の、小指はひとりぼっち
溜息と指きりして

倒れた置時計の電池を抜いたら
胸の奥がコチコチ鳴りました

こっち こっち

寝転がって
置時計を高くかかげて

僕の微熱は吸い込まれました
わんわん泣けない

転げ落ちた文字が
音もたてずに砕けてゆくのを
止められずにいる

小指は

やっぱりひとりぼっち





戻る   Point(3)