僕は小指/
ベンジャミン
幼さをかたちにしたら
転がりだした文字のうえで
楽しそうな僕がいました
わんわん泣きたい
微熱を放ちながらまるくなる
軽くにぎった手の、小指はひとりぼっち
溜息と指きりして
倒れた置時計の電池を抜いたら
胸の奥がコチコチ鳴りました
こっち こっち
寝転がって
置時計を高くかかげて
僕の微熱は吸い込まれました
わんわん泣けない
転げ落ちた文字が
音もたてずに砕けてゆくのを
止められずにいる
小指は
やっぱりひとりぼっち
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