慄/opus
小指からまず
左目の目尻に
そして、
右膝へ。
空が青白く光り、
あぁ、
これでもう終わりなのだな、
と。
思い出すのは、
ストーブの上で
とろける餅。
そんなものかと
一人苦笑しているのを、
隣りで嫁が
気味悪がる。
最後なのだからと、
久々にその頬に触れて、
軽く口付け。
抱きしめる。
子供でも作っておけばよかったかい?
いえ、私は十分、幸せでした。今、思うと。
ついには、
体全体が小刻みに震えている。
お互いの。
より、強く。
より、強く。
1人ではないのだと噛みしめるように。
強く。
強く。
そして、
光は私たちを包み、
恐らく、
世界を包み
そして、
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