ストーブ/春日線香
犬や猫や蛇が増えてきて
だんだん部屋が狭くなってきた
布団を敷くにも食事を用意するにも
いちいちまとわりついてくるので
うっとうしくてしかたないのだが
あとでどうにかしようと思っているうちに
いつも日が暮れてしまう
そうしてもう何年にもなる
今日はいつにもまして部屋が冷えて
ストーブを着けようにも灯油は高く
手がかじかんでどうしようもなくなってくる
そうだ、と思いたって
ためしに犬を放りこんでやったら
朽木のようによく燃えて暖かい
猫も蛇もえいやっと放りこんでみる
布団も食器も本も
着物もわたし自身もよく燃えて
もっと早くからこうしておけばよかったと
始末がついて安心している
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