百年の鳥/はるな
不可能性と無価値性だけが、尊く、また、安心であるように思えるのです。
わたしは、あなたの安寧を祈ります。それが何かわからないまま、望みます。許しはいつも初めに、心臓からはじまるべきだ。
きょうの眠り、夢で、テレビを消しに行く。
死なないでくださいとも、生きてくださいとも、死ねとも言えないわたしは、ただすべてがあるべきようにあることを思います。いるべきようにいて、死ぬべきように死んでください。夏に、とてつもなくかなしかった死を、わたしはとうとう乗り越えなかった。受け入れもしなかったし、受け流しもしなかった。わたしは何も理解しなかった。それは、いつまでも死だった。わたしはそんなに変わらないものを今まで、見たことがなかったから混乱したのだ。
わたしはたぶん笑います。指をすこし細くして、夜を平らにのばして。
そして鳥は、百年をそうしてきたように、飛びながら朝をつくっていきます。
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