白鳥はうつくしい/草野春心
 


  白鳥はうつくしい
  あなたの細い両の腕は、きょうも
  わたしの首をきりきりと締めつけていた



  あなたの長い髪の毛は
  あなたの言葉に似ていない
  みじかくけれども冗長で
  細くそれなのに激しく 心に真っすぐ訴える
  あなたはあなたの言葉に似ていない



  何度、強く頬をぶたれても
  目の前のすべてのものたちを
  黒く せつなく 染められてしまっても
  わたしの思いは変わらない
  白鳥はうつくしい
  この湖を いつまでも 飛び立つことはない



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