身辺雑記より(九)/たもつ
 
をし
話題はすぐに昼食をどうするかということになった
君にこの手品を見せることはもう二度とないだろうし
他に見せる相手がいるわけでもない
それはそれとして子供の頃
僕の身体には自然と左右のどちらかに傾く癖があって
その度に両腕を水平に広げバランスをとらなけらばならなかった
今でも時々人ごみでそうしてしまう
ふと気づけば君も両腕を水平に広げている
空なんか飛べなくたってかまわない
ただ同じような君がいつも隣にいてくれてよかった




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