おいでよ、虫食いの予感 (かしゃ、かしゃ、ずるる)/ホロウ・シカエルボク
 



真夜中にまぎれて忍び込む虫どもが頭蓋をくり貫いて脳膜を啜り上げる、夜に棲む奴等にはこの上なく美味なのさ、俺がそこにしまいこんでいるものの湿度は…ずるる、ずるると、小さな身体で懸命に奴等は啜り上げる、その音が煩わしくて俺はまた眠りを逃してしまう、枕には奴等が吸い切れなかった体液が零れ、ゼリーのようにたわんでいる、ぞぞ、ぞぞと、特等席を取れなかった弱い連中がそこに群がって喰らっている、かしゃ、かしゃと動くたびにぶつかり合って音を立てているところを見ると、どうやら奴等は甲虫的なもののようだ、かしゃ、かしゃ、ずるる、かしゃ、かしゃ、ずるる、ぞぞ、ぞぞ、ぞぞ、かしゃ、俺は眼を見開いてその音を聞い
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