歴史書/
草野春心
ビールジョッキをあしらった看板から
たっぷりとした影が道に溢(こぼ)れていた
旅の荷をおろした無口な男は
これから何処まで往くのだろうか
それは 知りようもない
女たちは 遠慮のない高い声で話しながら
辺りに影を撒き散らしている
歴史書の胡散臭い挿絵のように
大仰な手振りをまじえて
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