絵筆/
はるな
寝息もかたちを持つ生々しい夜に
生きていることははずかしかった
熱と湿りを帯びるからだが
その振動や重みが
やがて夜の裾がめくれはじめ
青と赤が互いを超える
はじまりとおわりを混ぜる絵筆を探しながら
爪あとのように境界を残したかった
か弱く白く、ただし途切れずに
そのためにはいちばん
かわいている必要があった
戻る
編
削
Point
(9)