空白と空白の間の空白を/クナリ
 

私の領域の中の
私の恋人という役割は
苦も無く他の誰かが務めるのでしょう

けれど私の領域の中に
あなたが消えたことで生まれた空白は
なんと埋まり得ないものでしょう

あの人でも
あの人でも
あの人でも
いけない

忘れようと何度決意したことか
そのたびにどれだけ鮮烈に思い起こしたことか
やがて時がたつにつれて
否応なしに薄れていく記憶に
安堵よりも恐怖を感じる
そのなんと屈辱的なこと
そのなんと致命的なこと

いつか泣きながら
時間よもどれと
懇願する時がくるのでしょうか

あなたはいなくとも
せめて思い出は留まれと
絶叫する時がくるのでしょうか

その時の私は
今と同じ私でしょうか

あの人でも
あの人でも
あの人でも
足りない

あの人すら
あの人すら
あの人すら
埋められない

あなたが私の領域の中に
残していった空白を
残りの人生をかけて
埋まりもしないのに
埋めていくのだということを理解して

絶望する。


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