夕凪のさきへ/朔 水
冬の吐息を吸い込んで
淋しいくらいに青い空。
枯れた草の香りと、
乾いた車のひびきと、
あてどないぼくとこの道。
どこへ行ってもいいのに
まぶしいくらい自由なのに
寒さに足が張り付いた。
かじかんだ手で押さえても
孤独にのどがつかえて
悲しみがむねにみちて
はりさけそうに苦しいんだ。
どこへ行けばいいの。
どうしたらそこへ行けるの。
そこへ行けないとしたら
ぼくはこのままなの?
ひきさきたいほどに
張りつめた冬の空。
ふとひとひらの羽が
ぼくにまいおりた。
何のなぐさみにもならない、
ただまいおりたそれに
こわれるくらい泣いた。
痛みのしずくを吸い上げて
やさしく凪いだ冬の風。
少し涙がかわいたら
きっと茜の空だろう。
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