仮面/小原あき
 
化粧を落としても
わたしは見えない
そこには
皺と染みの増えた顔があるだけ

わたしはまだ
様々なことに怯え
かたかたと震える
小さな小さな
わたしだというのに

化粧を落としても
もうひとつの仮面が見えるだけで
小さなわたしは
何も変わらずそこにいるのに
仮面だけが
むくむくと変化する

それがないと
わたしは外も歩けないのだ
朝、起き上がることすら
ままならないのだ

わたしは
仮面に
キスをした
仮面の緊張を
ずきずきと感じた





戻る   Point(9)